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語りかけるような美しい織物に魅せられて、織り作家・渡辺淑子さんのアトリエに伺いました。ひと口に織りといっても布ではなく、毛糸でもないような不思議な風合い。ファイバーアートと呼ばれるアーティスティックな大作からおしゃれなスカーフまで、渡辺さんの作品には、見る人や身にまとう人を温かく癒してくれる力を感じます。
アトリエの棚には、物語の世界から飛び出してきたような色とりどりの糸巻きが並んでいました。さらに、ご自身でも工夫を重ねて染めだした糸が加わるのだとか。染めから手がけると作品完成まで1ヶ月程かかるそうです。
「織るというより、創るのです」。
つまり、糸を素材にして造形物を創るのだという渡辺さん。決してマニュアルがあるわけではありません。いろいろな素材とさまざまな技法を独自に考えて新しいものを生み出す。渡辺さんの作品のテーマは光だそうで、逆光に映えて美しく見えるものにこだわり、光をもデザインされています。
そもそも、テキスタイルデザインのお仕事をされていた渡辺さん。織り作家への転身のきっかけは、消耗される性質のデザインよりも自分の作品を一から創っていきたいという強い思いに突き動かされたことだそうです。
すぐさま織りの本場西陣へ飛んで行き、3年ほど修行ともいえるお仕事をされました。その後、子育てなどで生活の変化もあったそうですが、平成7年ごろから本格的に再始動。
「景気づけに出してみよう」と出展した作品が朝日クラフト展にみごと入選。水の滴り落ちる様子をイメージした「滴る」という作品は、しゅろや銅などの奇抜な素材を使い、独自の技法を駆使した大作です。そのほか、亀岡の作品展において入賞した「つたう」は、糸のカラーグラデーションを生かし、木のもつエネルギーを表現した壮大な作品でした。
経糸と緯糸の出会い、そして渡辺さんの想いが重なって、心に響く織物たちが創られているのですね。
▼手織りサークルで愉しみを分かちあいたい。
こうした創るよろこびをより多くの方に楽しんでもらいたいと、始められた手織り教室。生徒さんは年配の方が多いそうですが、お友だちやお孫さんへのプレゼントなどを意欲的に織られる姿も多く、皆さん、とてもいきいきと制作に取り組まれているそうです。楽しく手を動かす内容なので、高齢の方の健康にもよいのではないでしょうか。
■おすすめアートギャラリー
今回のおすすめは、手づくりの質感も夏らしいおしゃれなスカーフたち。
薄着の夏だからこそ、小技が効いたプラスワンの着こなしがすてきです。
夏の日差しを受けて、美しくゆれる素材感が繊細な表情を演出してくれることでしょう。結び方や身につけ方次第で印象が変わりますよ。
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渡辺 淑子(わたなべ よしこ)
1966年
筑陽学園高等学校デザイン科卒
1970年
河合玲デザイン研究所卒 同研究所助手
1970年
第15回
繊維デザインコンクール 銀賞
1975年
京都西陣において3年間つづれ織りを修行
1978年
第3回 新人染織展覧会 入選
1979年
第4回 新人染織展覧会 入選
1979年
第32回 京都工芸美術展覧会 入選
1980年
第33回京都工芸美術展覧会 選抜展招待
1996年
朝日現代クラフト展 入選
2000年
Wa'tつむぎ手織サークル主宰
2002年
亀岡市社会福祉協議会憩いの家手織り指導
2003年
第20回亀岡市美術展 佳作
2003年
亀岡中央公民館手織り教室主宰 |
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朝日現代クラフト展
入選作「滴る」 |
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