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いかにも京都らしい路地を少し入ったところに「アトリエ・グラノーラ」があります。一見普通の住宅ですが、内部はイラストレーションやフェルト作品に必要なありとあらゆる画材や素材が整然と並び、創作しやすく配された室内のレイアウトは、まさしくアトリエという感じです。
▼イラストレーションからフェルトの世界へ
1980年代、京都芸術短大を卒業した林さんは当世人気のイラストレーターでした。イラスト専門誌に多数の作品が紹介され、東京の出版社やマスコミでもその作風は有名でした。そんな林さんが、90年代になって魅了されたのがハンドメイドフェルトの世界。元来何かを作りたいと思ったら、とことん追及し研究し徹底的に習得しなければ気が済まない。林さんいわく「なんでもきっちりとしたい典型的A型性格」。独学では限界があると、川島織物が主催するジョリー・ジョンソン氏のフェルトメーキングスクールで学び、フェルト作品作りを本格的に始めました。
▼実用的で美しいフェルト作品
ヘビーユーザーは自分自身
バック、針山、小物袋、帽子、コサージュ、ブローチ・・、どんなものも自分が「欲しい物」が創作のベース。そして実際に「使って」「実用的」というのが林さんの作品のスタンス。自分自身が最もヘビーなユーザーなのです。そんな素敵な作品だからこそ、多くの愛用者が現われ人から人へ広がり続けています。ところで私たちはフェルトというと、手芸屋さんでよく見かける四角くカラフルなものを連想しますが、ハンドメイドフェルト作品に継ぎ目はありません。それは原毛をまず染めることから始め、羊毛を何重にも重ね、せっけん水をかけてローリングし、時間をかけて縮絨(しゅくじゅう)させて形をつくり上げていくのです。目的により、自由自在に厚みや大きさを変えることができます。ですから、ハンドメイドフェルトには無限の可能性があるといえるのかもしれません。
▼色彩の魔術師と評された色彩感覚
工房には、林さんが染めた色彩豊かな羊毛がいつでも使えるように保管され、メリノ、ファインメリノ、ポロアス、サフォークなど、原毛ごとに分類。そこに一つ一つの特徴を書いたカードをつけ、びっしりと箱の中に整理されています。そんな徹底したこだわりは、作品にもそのまま表れています。「ありきたりの色は好きになれなくて・・・。だから、原色ではなく必ず何色も調合します」という林さんの作品は、市販の四角いフェルトで見かける色はひとつとしてありません。どれも複雑な色合い、何層にも色が重なりあい、深く美しく不思議な味わいを出しています。かつて「色彩の魔術師」と評されたイラストレーターの研ぎ澄まされた色彩感覚が、妥協を許さないのです。そのため染めた羊毛は膨大な色数になり、おのずとひとつの作品にかける時間も非常に長くなります。あまりにも手間がかかるため、何度もやめてしまおうと思ったそうです。でもお客さんの「いつも愛用していますよ」という声を聞くたびに励まされ、フェルトの制作も7年目になりました。
▼グラノーラ、大地と太陽のように
イラストからフェルト作品へと拡大した創作活動。2000年に「アトリエ・グラノーラ」を設立しました。
グラノーラという言葉は、大地と太陽の恵みを受けた穀物など複数の素材が、バランスよくミックスされたシリアルのこと。「アトリエ・グラノーラ」という名前は、イラスト、布、フェルト・・あらゆる素材や要素を含んだ創作活動を表しています。時代の流れや自分の指向に沿って柔軟にバランスよく、そして何よりも大地や太陽のように温かく生き生きと作り上げたいという、林さんの願いが込められているのです。
■おすすめアートギャラリー
今回のおすすめは、和洋どちらのファッションにも合うかわいい小物。人とは違った一点物で、さりげないおしゃれをどうぞ!
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林さとみ (はやし・さとみ)
| 1980年 |
京都芸術短期大学 ビジュアルデザイン科卒業 |
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デザイン会社勤務の後、フリーのイラストレーターとして独立 |
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出版物(挿絵・挿画等)、ポスターやパンフレットをはじめ |
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イメージキャラクター等のイラストを手がける |
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| 2000年 |
手仕事の工房「アトリエ・グラノーラ」を設立 |
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イラストの仕事を中心として、フェルトなどの作品に展開 |
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バック・生活雑貨や小物等、布の作品も作成 |
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